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そのままぽけーっと総の横顔を眺めていた僕の耳に小さな泣き声が聞こえた。
「一ちゃん今の鳴き声聞こえた?」
「総も聞こえたの?」
聞き間違えかと思っていた鳴き声は総の耳にも届いていたらしく、二人で何処だとキョロキョロ周りを見回す。
「え、あれかな?」
「どれ?」
先にそれらしきものを見つけたのは総の方で、小走りでそっちに向かう総の後をついていく。屈みこんだ総の手元には雨水を吸ってグショグショになっている小さな段ボール。
まさかそんなゴミみたいな物の中じゃないでしょ、なんて二人で顔を見合わせていればまた小さな泣き声がした。今度は確実に目の前のグショグショの箱から。
「嘘だろ!?」
焦ったような声を上げる総の傘を預かり、両手の空いた総が段ボールを開けようと力を籠めればいとも簡単に破れてしまった。その隙間から見える真っ黒な毛玉。
そっと破れ目を大きくすると、箱の中には真っ黒と真っ白な子猫がいた。二匹とも綺麗な金目銀目のオッドアイ。
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