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桜の花びらが風に舞う、満月の輝くとても綺麗な夜の日に二つの産声が上がった──。
その声は緊張感が漂っていた部屋に、安堵と笑顔をもたらした。
父親になった男は「ありがとう」と言いながら涙を流し、母親になった女はそれを見て「泣かないで」と言いながらクスクスと笑った。
病室に戻るなり二人は双子の名前の話を始めた。
綺麗な満月を見ながら思い浮かべるのは小さな双子の寝顔で、その度に二人で笑って「可愛い」を連呼する。名前を決めていたはずが何度も話が逸れるものだから、決まる頃には朝日が昇り始めていた。
「それじゃあ、これで決まりね」
「ああ、きっとこの名前が似合う人に育ってくれるよ」
嬉しそうに笑い合う二人はとても幸せそうだった。
病室にはとても穏やかな雰囲気が満ちていた。
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