第1話

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あの日から16年の月日が流れ、僕たち双子は高校に入学した。 ~♪~~♪ いつもと同じ軽快な音楽が流れ出す。 「ん~……」 手探りで音の発信源を見つけ、電源を切った。その後また布団を深く被り、心地の良い微睡みに包まれる。 アラームが鳴ってからどれだけ時間が経ったのか、突然ドアがノックされ返事をする前に開閉の音がした。まあ、するつもりもなかったのだけれど。 「ほら、一(はじめ)起きて。朝御飯食べる時間なくなるよ」 「ん」 「ほら、起きる」 ユラユラ揺らされて余計に起きられそうになかったけれど、そんなのは束の間、すぐに布団を剥ぎ取られた。 「……寒ぃ~…眠ぃ~……」 「それじゃ、起きて。置いてくよ?」 「ゃだぁ、総と一緒……に…行く……のぉ……」 言いながらも身体を丸めてまた寝そうになる。
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