一章 希望と絶望のセレモニー

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「だいたいお前は部長なんだからもっと――」 『わわわ~先輩落ち着いて!』 少年が女性のすぐ近くまで攻め寄った時、二人の間の小さな人影が全身を使い必死に仲裁に割って入った。 その挙動の一つ一つからは愛嬌のような愛くるしさを醸し出している。 「邪魔をするなミナト!こいつの天然さが人を殺める前になんとかしねぇと!」 『なによ!京ちゃんのグータラっぷりこそお説教しなきゃだわ!』 「なんだと~!むぐぐぐ!・・・」 二人の視線と視線は火花が弾けるかのようにぶつかり合う。 最初は制止しようとしていた小さな少年も次第にその圧に当てられ怯えるかのように萎縮し、元の身長よりも随分小さく見えてしまっている。 その第三者を中央に残したまま対立する両者の距離はジリジリと狭まっていき、互いの額と額とがぶつかりそうな位置まできた時、この空気は大きく一変させられることとなる。 「ハァアア!!チェストォオ!!」 『ぬはぁぁあ!』 威勢のよい掛け声と共に額を赤くした少年はサイドに激しくぶっ飛ばされた。 と同時に彼の持っていた湯呑みもその手を離れ宙を舞いそしてパリンと澄んだ音を鳴らして床にその残骸を散りばめた。 こう短時間にいくつも物を破壊するなんてエコノミーの欠片も感じられない部活動である。 そんなことはともかく、少年を突き飛ばしたものはというと、これがまたしても竹刀。 しかし今回は遠距離からの投放されたものではなく、ちゃんとある少女に握られている竹刀であった。 「また京介さんは小春さんに言い寄って・・・なんて破廉恥なんでしょう!」 その少女は苦痛に悶える少年をまるで汚らしいゴミでも見るかのように蔑んだ目をしていた。 「・・・だ、誰もそんなことしてねぇ・・・ッウ!・・・ッガク」 そう最後の言葉を残し、少年はまさにこと切れるといった表現が的確であるかのように気絶してしまった。
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