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運命の日。
県立坂田北高校の、合格発表。
「1023、1023……」
あれ、ない、のかな……?
合格者の番号が霞んで見える。
いつまで経っても、私は自分の番号を見つけられずにいた。
「おかしいなあ……」
「何してんの?」
感じの悪い男子に声を掛けられて、私はむっとした。
「何よ。見つけられないの。ちょっと待ってよ。」
そいつは黙って私の受験票を覗き込む。
「1023?あるじゃん。」
「えっ?」
もう一度紙を見る。
ぶれて、重なって見える文字の向こうに、1023という数字が浮かんできた。
「あ、あった。」
「真衣~!どうだった?」
「あったよ!」
「やったー!!」
親友の絵梨が飛びついてくる。
なんだろう、この気持ち。
言葉にできないけど、なんだかすっごく嬉しいよ。
「私、北高受かったんだ……。」
「そうだよ!真衣!私たちおんなじクラス。三年間ずっと一緒だよ!」
「絵梨!やった!!」
今度は私が絵梨に飛びつく。
やっと、やっと少し実感がわいてきた。
私が、憧れの北高に受かったんだということ。
この四月から三年間、ここに通えるってこと。
そして、先輩とおんなじ部活に入れるってこと……。
「北原!」
振り返ると、そこに憧れのあの人がいた。
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