第1話

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「須藤先輩!」 「北原、その顔は合格したんだな?」 「はいっ!」 「合格おめでとう。それから……北原、高校でもバスケ続けるんだろ?」 「もちろんです。」 「よかった。……待ってたんだ。北原が来ること。」 「え?」 「楽しみにしてるから。」 「私も楽しみです。」 「じゃ。」 先輩は、片手をあげて颯爽と去って行く。 中学の時おんなじバスケ部で、私の憧れだった先輩。 その人が、なんだか少しだけ近く感じた。 先輩に、北高のブレザーが良く似合っていて。 先輩のネクタイと同じ模様のリボンができる。 それだけで、十分嬉しかった。 「待ってたんだ。北原が来ること!」 「もう絵梨~!茶化さないでよ!」 「だって!須藤先輩真衣のこと好きなんじゃないのー?」 「そんなわけないって。」 「告白したらどうなの?中1のときからずっと好きなんでしょ?」 「憧れてるだけ。好きだなんて、そんなこと……」 そう、須藤先輩はずっと、私の憧れ。 先輩が振り向いてくれるなんて、そんなこと思ってない。 それでいいんだって、ずっと自分に言い聞かせてきたから。 でも、でも。 あんなこと言われたら、少しくらい期待しちゃうから。 私の高校生活の始まりは、こんなに楽しくて、こんなに夢にあふれていたんだ――
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