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「須藤先輩!」
「北原、その顔は合格したんだな?」
「はいっ!」
「合格おめでとう。それから……北原、高校でもバスケ続けるんだろ?」
「もちろんです。」
「よかった。……待ってたんだ。北原が来ること。」
「え?」
「楽しみにしてるから。」
「私も楽しみです。」
「じゃ。」
先輩は、片手をあげて颯爽と去って行く。
中学の時おんなじバスケ部で、私の憧れだった先輩。
その人が、なんだか少しだけ近く感じた。
先輩に、北高のブレザーが良く似合っていて。
先輩のネクタイと同じ模様のリボンができる。
それだけで、十分嬉しかった。
「待ってたんだ。北原が来ること!」
「もう絵梨~!茶化さないでよ!」
「だって!須藤先輩真衣のこと好きなんじゃないのー?」
「そんなわけないって。」
「告白したらどうなの?中1のときからずっと好きなんでしょ?」
「憧れてるだけ。好きだなんて、そんなこと……」
そう、須藤先輩はずっと、私の憧れ。
先輩が振り向いてくれるなんて、そんなこと思ってない。
それでいいんだって、ずっと自分に言い聞かせてきたから。
でも、でも。
あんなこと言われたら、少しくらい期待しちゃうから。
私の高校生活の始まりは、こんなに楽しくて、こんなに夢にあふれていたんだ――
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