第1話

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*  *  *  *  *  *  *  *  *  *   入学式の前に、クラスごとに教室に集まった。 私は絵梨と同じ4組。三年間固定のクラスだ。 夏休みまでは出席番号順の席で生活するらしい。 私は自分の席について、ふと隣を見た。 「あ……」 楽しそうなクラスの中で、一人つまらなそうに頬杖をついている男子。 私はその人に見覚えがあった。 「あのさ、何見てんの?俺、なんかおかしい?」 見ていたら急に向き直って、彼は怒ったように言った。 「ううん。そうじゃなくて。……よろしくね!私……」 「あのさ。俺、興味ないから。」 「は?」 「俺、人間に興味ないから。」 そう言い放って、彼は机に突っ伏した。 やっぱり嫌な奴。そう思う。 あの合格発表の日に、私を急かしてきた男。 第一印象からして感じ悪かったけれど、これは本物だ。 「いいですよー。別に。」 私は口をとがらせてそっぽを向いた。 夏休みまでの辛抱だ。そしたら、席替え。 右側を向かなきゃいいことだし。 こうして私の高校生活は本格的に始動した。
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