第1話

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しばらく体育館の二階の手すりから見学していた。 広い体育館の右側は女子で、左側は男子。 間は緑色のネットで仕切られている。 思わず目が、左側に移る。 須藤先輩は、中学の時と変わらない、キレのあるプレーを繰り広げている。 先輩はその容姿と運動神経の良さで、女子に人気がある。 でも誰とも付き合わないで、バスケ一筋。 それもまた、先輩の株を上げているんだ。 私は、そんな女子の一人。 付き合おうなんて、ましてや、好きだなんて思うこともおこがましいと思っている。 憧れ。 そう。ただ私は、須藤先輩に憧れている。 そんなことをぼんやり考えていたら、気付くとその人が私のことを呼んでいた。 「北原っ!!」 にこっ、と笑って先輩が手を振る。 「降りてきなよ。一緒にやろう!」 「えっ!でも先輩、私今日ジャージ持ってない、」 「いいよそんなの!俺のやつ貸すからっ!」 先輩が更衣室に消えていく。 私は驚いてその場に立ち尽くした。 でも、嬉しい気持ちで次第に胸がいっぱいになって…… そして全速力で階段を駆け下りた。 「北原、これに着替えて!ちょっとおっきいかもな!」 「ありがとうございます!」 須藤先輩が楽しそうな顔で笑う。 高校生って、いいな! 先輩の香りのするジャージを胸に抱えながら、私は思った。
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