To Love Mail

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「こんなメール黒子に送ったなんて…オレどんな顔して会えばいいんだ…。」 がっくりと項垂れた降旗。 そんなに嫌なのか、このメールが。 少し苛ついた赤司は降旗を押し倒した。 降旗の細い手首をベッドに押し付け、上から見下ろした。 「僕の想いが、嫌なのかい?」 ぎし、とベッドの軋る音が聞こえる。 降旗は押し倒されている状況に慌てながら、赤司が怒っていると察した。 「違う、嫌なんじゃなくて…。そうじゃなくて…。」 「…そうじゃなくて?」 また泣かせてしまった。 赤司はしまった、と思い、今度は優しく問いかけた。 そんな赤司にほっとした降旗は目線をそらしながらぼそっと小さい声で呟いた。 「そのメール、ちゃんとオレに送って欲しかった…。」 また顔を赤らめ、恥ずかしさからかじわ、と涙目になった。 その表情がたまらなく赤司を酔わせた。 そっと目尻に唇を落とし、次はちゃんと唇に。 降旗は目を伏せて赤司のキスを受け入れる。 すぐに離れた赤司の唇を降旗は無意識に追いかけた。 赤司はその目線にすぐに気付き、また唇を落とす。 今度は深く、深く、 「………っ、は、」 息が上がったころようやく唇を離した。 「…かわいい、光輝。」 そう言うとすぐに顔を真っ赤にする。 甘い、林檎みたいに。 甘く、そしてすぐに僕を酔わせる。 食べずにはいられないんだ。 そして一度幸福を知ってしまえば、 また欲しくなる。 僕はもう逃れられない ────── 「光輝、文面ではなくて、僕の声を聞いて。」 息を落ち着かせた降旗の耳元にそっと近づき、囁いた。 『愛してる』
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