ゼロ距離

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「一旦休憩!10分後開始!」 大坪の声で一斉に動きを止め、選手は水分補給に向かう。 一方で緑間と高尾は汗を洗いに外の水道へ向かった。 「ぷはー、つめた!」 高尾は持ってきたタオルで水を拭き取る。 緑間も眼鏡を外して顔を洗っていた。 そして、その様子を横からまじまじと見ながら眼鏡を外した緑間はいつも以上にかっこいいと思っていた。 コンタクトにすればいいのに、と毎回思うぐらい。 この間コンタクトにすれば?と言ってみたら断固拒否された。 怖いのかーと笑ったら思いきり頭を殴られたのを覚えている。 ようやく顔を上げた緑間にタオルを渡そうとしたとき、声が聞こえた。 「あのっ、これ使ってください!!」 ぱっと同時に後ろを振り向くとそこに居たのは女の子だった。 その女の子に高尾は見覚えがあり、誰だっけと思い出していたらすぐに何処かへ走り去っていった。 緑間の手にあの女の子が持ってきたタオルを残して。 「ひゅー、モテるねー真ちゃん。」 からかうように言うとギロリと睨む緑間。 眼鏡を外し見えていないからか、その睨みも高尾には向いていない。 「使わないの、それ。」 く、と笑いながら緑間の手にあるタオルを指差して尋ねた。 「…何処の誰かも分からんヤツのタオルを使うわけにはいかん。貸せ。」 そう言って手を伸ばし高尾のタオルを催促する。 素直に緑間へタオルを渡すと、ぽたぽたと髪から落ちる水を拭き取った。 そして眼鏡をかけ直し、タオルを高尾へ放り投げた。
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