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「なー真ちゃん、何て言ったの?あの子に。」
「しつこいのだよ。何度も聞くな。」
部活が終わって居残り練習をしていたときに高尾は尋ねた。
緑間は毎回驚くほどに高すぎるシュートを黙々と飽きもせずに打ち続ける。
あれから高尾は緑間の言葉通り何度も女の子に言ったことは何か聞いた。
しかし返事はいつも無し。
うるさい、黙れ、など誤魔化してばかりだった。
これ以上聞いたら本当に答えなくなる、と思い今日限りで何も聞かないことにした。
だが気になるものは気になる。
何故こうも気にしてしまうのか、その理由は明らかだった。
それは、緑間が好きだから。
あの女の子が辛そうな表情をして、それが高尾を安心させたのは事実だった。
そんな自分が嫌にもなったし、苛立ちにもなった。
だが、そんな表情にさせてしまう緑間にも腹が立った。
オレには毒も吐くけれど、それは友達のじゃれあいみたいなもので。
それにオレは男で。
あの時、あの子の表情をさせたのは確かに緑間であって。
つまり、独占欲。
そんな顔をさせないで、
その表情をしていいのはオレだけであってほしい。
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