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「…好きなんですっ、緑間くんのことが!」
「─────っ!」
その言葉に驚き、危うく声を出してしまうところを手で押さえた。
まさか、告白現場に遭遇してしまうとは。
あのまま練習に戻れば良かったと後悔するが、すでに時遅し。
女の子の告白に胸を痛めた。
(オレには、そんな勇気ねーけど…)
少し羨ましくなってしまったのも事実だった。
そして、緑間がどんな返事をするのかが気になった。
緑間のことだから受け入れることはない、と確信する心ともしかしたら受け入れるかもしれない、という焦り。
ありえないよな、
真ちゃんが受け入れるわけない。
でも、もしかしたら、
その時オレはどうするんだ?
ぐちゃぐちゃな感情に頭を悩ませ、そして緑間の返事を耳を済まして聞く。
頼む、受け入れるな、
頼む…!
「…ありがとう。」
………終わった。
何もかもが終わった。
そうか、真ちゃん、付き合うのか。
まるで心にぽっかり穴が空いたような、そんな感覚だった。
高尾はそっと気付かれないようにその場を後にした。
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