ゼロ距離

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────だが、やはり気まずいというもので。 以前のように知らないフリも出来はしなかった。 一方的に高尾が緑間を避けているようにも見えるが。 (よりによってなんでこんなときに…!) 「追い掛けてくるんだよぉ…っ!」 「まて高尾!」 後ろから鬼のように追い掛けてくる緑間から懸命に逃げる高尾。 いつもなら喧嘩をしたって高尾から謝るまで緑間は一切関わろうとしない。 だが、今回は違かった。 自分の緑間へ対する想いに終わりを告げたあと、可笑しいほどに高尾は緑間を避けた。 廊下ですれ違っても目を合わせない。 教室には迎えに行かない。 部活はしょうがないとして、話しかけるなどしなかった。 居残り練習もせず、毎日一人で帰る。 流石にこれは大坪や他の選手たちも気付き、大丈夫かと声をかけた。 しかし高尾は大丈夫の一点張り、そして緑間は黙るだけ。 これ以上は何も言えなかった。 そして、ある日。 何故避けられているのか理由も教えて貰えずしびれを切らした緑間はついに高尾へ声をかけた。 「おい、高尾…」 「………っ!」 後ろから聞こえた声が一瞬で誰の声か分かり、高尾は荷物も忘れて教室を飛び出した。 その行動にかちん、と頭にきた緑間は高尾を追い掛けて、今に至る。 幸い、今日は部活がない日。 部活に支障が出ないから良かったものの、 「高尾!!」 「オレとしたらじゅーぶん支障だっつの…!」 息も上がってこれ以上の追いかけっこは正直きつい。 だが、足を止めたら確実に捕まるし殺される…! と考えれば、止まることなどできなかった。 なかなか諦めようとしない緑間に拍手を贈りたいくらいだったが、そんなことは考えず無我夢中に走った。 慌てて来てしまったのは部室。 鍵をかけてしまえばあきらめるだろう、と考えたが手が震えているせいでかけることが出来ずにいた。 やばい、来てしまう、と焦っているせいで尚更閉められない。 どうしよう、と思った瞬間、がつ、とドアを掴む手が見え思わず驚いてしまった。 そして、今度は自分の手を捕まれたせいでバランスを崩し、スローモーションのように高尾は床に倒れていった。
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