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ばたん、とドアが閉まる音と自分が倒れる音が重なるのが聞こえた。
恐る恐る目を開くと、そこには息を切らした緑間の姿があった。
(なんでこんな状態に…!)
今、自分がどんな体制なのか理解し、それから顔が熱くなった。
走ったせいで汗をかいている緑間が、自分の上に跨がっている。
近距離に心臓が爆発しそうになり、そして悲しくなった。
彼女が居るのになんでこんなこと…
「高尾、こっち向け。」
「やだ…。」
反論されたのが気に食わないのか、ちっ、と舌打ちをして高尾の顎をつかみ、無理やり緑間の方へ顔を向かせた。
「何故避ける、高尾。」
「…別にいーだろ!」
「良くないから言っている!!」
あまり怒鳴らない緑間が怒鳴ったことに高尾はびくっ、と驚いた。
「お前はそうやって、いつもオレをかき乱す。」
「はぁ!?それはこっちのセリフ…!」
オレの気も知らないで、と今なら緑間が口を挟めないぐらい攻め立てられる。
「ってか、どけよ!」
「離したらお前はまた逃げるだろう。」
これには反論できず、高尾は押し黙ってしまった。
抵抗するのも力の強い緑間では無駄だと思い、暴れるのを止めた。
しかし、見下ろされるのも癪で、自分の心臓ももたなくなる。
どうにか逃れることは出来ないか考えていると、緑間が悲しそうな目で高尾を見つめた。
「もう一度聞く。何故、避けるんだ。」
「だから、避けてないって言ってるだろ…。」
そんな目で見るな、
何でお前が辛そうな顔をするんだ。
オレだって、
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