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───── 一方赤司の方はというと。
「ごほっ…」
(迂闊だった…)
自分が風邪を引いてしまったことを悔いていた。
いつもは体調管理に気を付けろと選手たちに言っているが、
自分が具合を悪くしてしまってはどうしようもない。
事は三日前に遡る。
いつものように洛山高校の体育館で練習風景を目を光らせながら眺めていた。
その日、ごくたまに頭痛がしたのだが長く続いている訳では無かったので気にしていなかった。
それに今はウインターカップ前。
キャプテンが抜けてしまっては選手を動揺させてしまうだろう。
監督も出払っていて、なおさら抜けるわけにはいかなかった。
自分が一日我慢していればいい。
しかし、それが仇となったのか、徐々に体が重くなり、頭痛もひどくなっていった。
まずいな、と感じていながら少しの力で体を支えていた。
ぐらぐらと視界が揺れてきたとき、
「征ちゃん…!?」
と実渕が叫んだのをキリに、赤司は意識をなくした。
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