56人が本棚に入れています
本棚に追加
「いや、え、と、あの、そう!赤司の元気になった顔見れて良かったってこと、あははっ!」
降旗の見え見えな嘘に赤司は愛しくなり、柔らかく微笑んだ。
そんな赤司の笑みに降旗は息を詰まらせた。
赤司は手を近づけ、そっと降旗の髪をすくように撫でながら口を開いた。
「本当に、すまない。君を心配させて、傷つけて。僕は恋人失格だね。」
「…っ、そんなこと、ないっ!」
降旗は赤司の言葉を大声で否定した。
突然の叫び声に赤司は目を丸くした。
「…ごめん。突然叫んで。でも、そんなことないから。恋人失格だなんて、言わないで…。」
降旗は悲しそうな声で言い、赤司を見つめた。
赤司もまた見つめ返し、ああ、と返事をするように微笑んだ。
「…オレ」
降旗が何かを言おうとしたことを察して、うん、と赤司は頷いた。
「黒子から電話が来たとき、何でって思ったんだ。」
────── あの時
黒子から電話がかかってくるなんて珍しいなんて思いながら、電話をとった。
『先程メールが来たのですが、赤司くんの具合が悪いそうなんです。』
「…え?」
『そのメールなんですが…』
プツ、と思わず切ってしまった電話を見つめてぎゅっと握りしめた。
何で、黒子に?
何で、オレじゃないの?
オレじゃ ──────
最初のコメントを投稿しよう!