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その時、玄関からチャイムの音が響き、客人の来訪を知らせる。
インターホンで相手を確認すると、宅急便のようだった。
「あら、一体誰?」
「宅急便だ。何かを頼んだ覚えは無いが……居留守をするのは良いとは言えんからな。出ておくか」
私はソファから立ち上がり、玄関へと向かう。
程無くして玄関につき、鍵を開けて扉を押し開ける。
そこにはにこやかな笑顔で宅急便の男が立っていた。何故かこの笑顔が不気味だったが、顔は人それぞれなのだ。
「どうも、睦月薙尋様のお宅で宜しいでしょうか?」
「……ああ、そうだ。だが私は何かを頼んだ覚えは無いぞ」
「いえいえ、そんな理由ではありません。少し運ばなければいけないものがありまして……」
私は不穏なものを感じ一歩後ずさると、男はそれよりも早く懐から何かを抜き、首に押し付けた。
そしてバチリという音と共に、私の意識は体から離れていった。
「く……ああ……?」
「ひっひっふー、目が覚めたか?」
私が意識を取り戻すと、そこは何もない白い部屋だった。体は椅子に固定されていて、明らかにすぐには帰してくれなさそうな状況だった。
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