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「何のつもりだ……何が楽しい!」
「……ま、そう言うわな。ウチやって手一杯で、憂さ晴らしの感じもあって……やってもうた。この罪は、ウチが体で払ったる!」
いきなり白衣を脱ぎ捨て、その下のシャツにも手を掛ける。その狂行に私は目を逸らすが、逸らした先には既に女が回り込んでいた。
「一体何をする気かは考えたくもないが……興味は無い、止めてくれ」
「据え膳食えや、男やろ!!」
「無理よ、彼は欲を絶つことに成功した断食系男子だから」
先程の声に、私は体を震わせた。
この現状で、最も無事を確かめたかったものの声。声のした方向に目を向ける。
そこにはキャスター付きの小皿に入った『茶色』のじゃがいも――メイが居た。
「め……い?」
「ごめんなさい、何もかも私のせいなのよ……」
「負けた……? じゃがいもに負けたっての……?」
「メイのせい……? 一体何がだ?」
そしてメイと女に説明された内容は、余りに現実離れしたものだった。
研究者である女がふとした拍子に、人間と意思疎通の出来るじゃがいもを作ってしまったらしい。
だが、当然ながらじゃがいもと意思疎通の出来ない女は、どうにかして疎通が出来るようになる薬を作った。
しかし、その時にはメイは何故か出荷されていた。
大変だ、食べられる前に取り返さなければと躍起になって、結果今に至るというらしい。
つまりは。
「メイではなく女、お前が悪い」
「きびしーっすな、Mに目覚めそうだ」
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