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なんなのよ、もう。
笹原君といい、春人といい、不安にさせるようなことばかり言う。
第一、私、浮かれてなんか……。
そう思いいつつも、手に握る服に目を落とせば再度緩んでしまいそうな私の頬。
「……」
これはもう、葵ちゃんが言うように自覚せざるを得ないのか……。
「まぁ、女を怠ってきたねーちゃんにはいい機会……」
「もういいから!」
「おー、こわ」
わざとらしく肩をすぼめた春人は、笑いながらドアを閉めた。
「まったく……」
私はブツブツ独り言を言いながらも、携帯を開く。
吉川さんから連絡が入っていないかこまめに確認すること自体、私は既に手遅れだった。
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