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2週間経った。 「先輩、クマができてます……、っていうか顔色悪いです」 「……そう? 来月簿記の試験で、遅くまで勉強してるからかな」 お昼休憩の時間。 葵ちゃんの問いかけに、アハハ、と頭をかきながら、あながち嘘ではない理由を述べる。 嘘ではないが……。 その勉強時間の3分の1くらいは、携帯と睨めっこしているか、吉川さんのことを考えているかのどちらかだという事実。 「せっかくちゃんとメイクし始めたのに、もったいないです、先輩。 女は顔色第一ですよ!」 そう、ずぼらで女度ゼロだった私が、葵ちゃんのレクチャーどおりにお化粧の練習を始めたのだ。 “練習”って……。 中学生か、と、いつものように自分につっこむ。
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