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葵ちゃんは、デスクの境目に置いてある、私と葵ちゃん兼用の電話の受話器をパッと取る。
そして、電話帳で吉川さんの税理士事務所の電話番号を綺麗な爪の指先で押さえると、流れるような手つきで番号を押した。
「わああぁっ!」
待って!
心の準備ってものがっ!
既に呼び出している電話を切らせるわけにもいかず、私はその場で1人盆踊りのように慌てふためく。
ていうか葵ちゃん、アナタもしかして二重人格!?
「あ、もしもし」
……。
電話が税理士事務所につながったらしく、葵ちゃんが流暢に「お世話になっております」と挨拶し出す。
「道野と申しますが、吉川さんはいらっしゃいますか?」
「――っ!!」
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