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ちょっとっ!
葵の上!
「はい、先輩」
口をパクパクしている私に、葵ちゃんがにっこり笑顔で受話器を差し出す。
開いた口が塞がらない私は、促されるまま受話器を受け取る他なかった。
「……」
葵ちゃんをうらめしそうに見ながらもおそるおそる耳をあてると、のん気に流れるオルゴール調の保留音。
本意ではないにしろ、これはもう、しょうがない。
私は動悸を抑えようと、その場で大きく深呼吸をした。
プツ、と保留音が途切れる音。
ハッとして、私は吸いこんだ空気を全部吐き出す勢いで話し出す。
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