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「はぁ……」 葵ちゃんと別れ、いつもの道を徒歩で帰る。 ここ最近重たかった足が、今日は一層重力に従順だ。 鳴らない携帯電話を見ながら、私は大きな溜め息をついた。 「笹原君と春人が言ってたこと、本当だったな」 やっぱり私だけ勘違いしていたのかもしれない。 2週間前の土曜日の吉川さんの優しさや、私を浮かれさせるような言葉達が、ものすごく遠くに感じられ、もしかしたら夢だったのかな、とさえ思えてきた。 夜7時前。 同じように会社帰りっぽい人達や女の子の2人組やカップルとすれ違いながら、また、自分だけが光を放てていないような、根暗な気持ちになる。
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