9-2

31/40
前へ
/40ページ
次へ
車で送ってもらいながら、私はさっきのキスのことを反芻していた。 なんかうやむやになってしまった気がするけど、あれ?夢じゃないよね? そんでもって、吉川さん、私の気持ちに気付いているみたいだけど、これって、本当の交際が始まるの? もう始まっちゃってるの? ぐるぐる考えながら無言で下を向いていると、 「酔いますよ」 と、運転席から吉川さんの声。 ちょっとだけ目が合って、すぐに進行方向へ目を戻した吉川さんの横顔に、私はホーッと見入る。 ダメだぁ……、私。 好きになるとこんな風になっちゃうんだ。 あ、そういえば……。 「吉川さん、さっき撮った写真、見たいです」 ちょうど信号で車が停止したので、吉川さんに思い切って言ってみる。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4696人が本棚に入れています
本棚に追加