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『着きました。 出て来れますか?』 「はっ、はいっ」 そう返事した時には、既にバッグを持って自分の部屋から出ていた。 気が逸り、頭で考えるより先に足が動いている。 『暗いので気をつけて来てくださいね』 「大丈夫です!3分もかからないと思うので」 『ハハ。分かりました』 はい。久々の“ハハ”を頂きました。 そんな浮かれた気持ちで電話を切った時には、もう玄関から出ていた。 そして2分弱で公園の駐車場に辿り着いた。 ――あ、吉川さんの車だ。 以前と同じ場所に停めてあるシルバーの車に気付くと、既に早足だった歩調がもっと早まる。 ちゃんと好きだって自覚すると、こうも変わるんだ。 自分の気持ちと行動にやっとこさでついていく私は、何故かそれすら嬉しくて、少し肌寒い風にも頬を緩めながら車へ向かった。
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