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「すみませんっ、私のせいで」
私は瞬時に理解して、勢いよく頭を下げる。
「いえ。なんであなたが謝るんですか?
元はと言えば私が悪いですし、自業自得です。
道野さんが風邪をひかなくてよかった」
「でも」
「格好悪いから言いたくなかったんですけどね。
うつしてしまうといけないので、食事に誘えないのは誤算でした」
あぁ……。
だから誘いの連絡がこなかったんだ。
合点がいった私は、ホッとしたような、でも申し訳無いような複雑な気持ちで眉を垂らす。
「でも、よかった……」
思わずポロリと転がり出る本音。
「え?」
「……あっ、いえっ、……何でもないです」
思っていたことが口から出ていたことに気付き、私は慌てて撤回した。
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