4696人が本棚に入れています
本棚に追加
「そうですか」
そのまま笑って話を切る吉川さん。
「み、見せていただけませんか?」
急に撮られたのは私の方なのに、かなりの低姿勢でお願いする。
「いいですけど、消さないでくださいね」
ポケットからケータイを取り出した吉川さんは、親指で例の写メを表示させて、私に手渡す。
信号が青に変わり、ゆっくり車が走りを再開する。
「……っ!!」
やっぱり!
私、超変な顔してる。
吉川さんの肩に頭を乗せ、頬を赤らめ、口を間抜けに開けた顔。
「すみませんっ、やっぱりこれ、消してくだ」
「ダメです。
消したら許しません」
まっすぐ前を見ながら却下を言い渡す吉川さん。
ほんの少し笑ってはいるが、消したら本当に酷い仕打ちが待っていそうで縮こまる。
最初のコメントを投稿しよう!