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「土曜日の夜7時に、またここで」
有無を言わせない業務連絡のように、吉川さんは次に会う日時を設定する。
嬉しい。
嬉しいは嬉しいけど……。
“城田歩美”の四文字が私の頭の中に居座ったまま、じっとこちらを凝視しているみたいだ。
吉川さんのこちらへ伸ばされた左手に戸惑いながらも、私は先程の着信のことばかり考えている。
私の頬に手を掠め、ゆっくり体を前に倒してくる吉川さん。
縮まる距離に、条件反射のようにまた熱くなる私の顔、そして速まる心拍数。
あ……、また、キス、される……。
って思ったけれど。
「……イヤ?
……ですか?」
私は咄嗟に俯いてしまっていた。
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