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注文したお蕎麦と天ぷらがきた。
静かな和の音楽をバックに、私はなるべく音を立てないように食べ始める。
会話は当たり障りのない仕事の話。
部長から頼まれる仕事が増えてきた、と言ったら、吉川さんは、認められてきた証拠ですね、と喜んでくれた。
いつもだけれど、話題はほとんど私側のことばかりで、吉川さんは聞き役に回る。
吉川さん側の会社の話は多分私には分からないし、税理士事務所なんて守秘義務がハンパないだろうから、必然的にそうなるんだろう。
でも、私にはそれに加えて、私が気持ちよく喋れるように吉川さんが会話を先導してくれているように思えてならない。
何故なら、吉川さんと話すと、緊張するのは置いといて、とても心が軽くなるからだ。
吉川さんに促されて吐き出したことで、あぁ、今吐き出したの仕事のストレスだったんだ、って後から気付く。
絡まり固まって原形が分からなくなったものを、吉川さんが自然にほどいてくれているみたいだ。
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