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「おいおい、褒め言葉をないがしろにするなよ」 背中でカバの笑い声を聞きながら自分のデスクに戻ると、 「先輩、近いうち部長の藁人形でも作っちゃいましょう」 と、葵ちゃんがコソコソ言ってきた。 私は、是非とも、と笑って返した。 「それより先輩、その仕事大丈夫ですか? 半分手伝います」 「いいよいいよ、葵ちゃんは他の仕事頼まれてたじゃない。 自分の分は自分でするよ」 「だってもう4時ですよ。 残業確定じゃないですか」 カバの方を見て、口をへの字にする葵ちゃん。 「明日休みだし、どうせ帰ってもすることないから大丈夫だよ」 「明日は決戦の日ですよ、先輩」 「ハハ。 分かってるけど、何もしようがないし」 ファイティングポーズをとって見せる葵ちゃんを可愛いと思いながら、私はその仕事に取り掛かった。      
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