4309人が本棚に入れています
本棚に追加
「7時半か……」
もっと遅くなるかと思ったけれど、意外と早く終わった。
仕事が早くなってきたことを実感し、終わった充実感と共にホクホクした気持ちで、トントン、と書類を整える。
「よし、帰ろ」
既に帰ったカバのデスクに作成した書類を置き、帰り支度をする。
数人残っている男性社員に挨拶をして、事務所を後にし、エレベーターに乗った。
チーン、と鳴り、1階に着いたエレベーターの扉が開く。
下を向きながら一歩外へ出ると、私と入れ違いに乗り込む、ダークブラウンの光沢のある靴が目に入った。
あれ?見覚えが……。
そう思って顔を上げようとすると、
「あ」
という、短く低い声。
「お疲れ様です」
続くその声に、私はようやく上げ切った顔を赤らめた。
最初のコメントを投稿しよう!