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ぎゃふん。 反則だ……、って思いながら、閉まったエレベーターの前で赤面する。 ずるい。 私が嬉しくなるツボを心得てる、あの人。 てか、エレベーターの使い方、マスターしてるし……。 クルッと回れ右をして、熱くなった顔を冷やすように、ツカツカと歩き始める。 ビルを出ると、秋の風が私の頬を心地良く掠めた。 「……ずるい」 さっき心の中で思ったことを、俯いて歩きながらこぼす。 明日城田さんのことを聞く、って覚悟を決めているのに、たった一瞬で、2人だけで会えるってことの方を楽しみにさせられてしまった。 恐るべし、吉川さん。 こんなの負け戦だ、最初から。      
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