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「ねーちゃん、顔、泥だらけなんだけど」 「失礼ね。 泥パックだし」 「じゃあ間違ってないじゃん」 バイトから帰ってきた春人が、洗面所でクレイパックを落とそうとしている私にチャチャを入れてくる。 「普通、そーいうのって風呂ん中でしない?」 「お風呂でし忘れたから、今してるんだってば」 これまた葵ちゃんにすすめられて買ってきたパック。 『何もしようがないし』なんて言いながらも、せっせと身綺麗にしている自分が我ながら可笑しい。 「変わるもんだねー、男で。 あんなにズボラで面倒くさがりだったねーちゃんが」 「いいから、もう。シッシッ」 「褒め言葉だってば」 ケラケラ笑いながらリビングへ戻る春人。
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