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『明日、会えるかしら?』 昨夜の電話で、城田さんから誘われた。 夜はどうか、と聞かれたが、用事があります、と答えたら、この時間になった。 無論、夜の用事の内容は言っていないけれど。 『なんで急に?』とは聞けなかった。 淡々とした口調だったが、聞く余地を与えないような冷やかさを宿した声色だったから。 電話を切った後に、春人に、顔色がめちゃくちゃ悪くなった、と言われた。 パックの効果を無に、いや、マイナスにしてくださった城田さんは、私とは逆に以前とお変わりなく、メイクばっちりでお見目麗しい。 「早速だけど……」 店員に紅茶と私の分のコーヒーを頼んだ城田さんが、姿勢を私の方へ戻し、口を開く。 私は、その言葉にピシッと背筋を伸ばし、心の中で身構えた。 はたから見ると、お局様と、説教される新入社員の図。
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