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「この前、吉川さんに電話をかけた時にあなたの声が一瞬聞こえたってのもあるけど、本人が言ったらしいし、交際していますって」 「……?」 持って来られた紅茶を一口飲んで、羨ましい限りのバサバサ睫毛を上げながらそう言う城田さんに、私は猫背で顔だけ上げ、間抜けな表情で固まる。 “本人が言ったらしい”? 本人、って、吉川さんが? らしい、って、直接聞いたわけじゃないってこと? じゃあ、誰に? 誰に聞いたの? 「昨夜、叔父に聞いたの」 「おじ?」 頭の中があからさまに表情に出ていたらしい私に、城田さんは淡々と告げる。 話が見えずに、私は無意識に首が傾き、ハテナを表す格好になった。 「あら?知らなかったかしら? 私の叔父は、あなたの会社の社長よ」
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