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「道野さん、あなたどうやって吉川さんに取り入ったの?」 「はい?」 「彼は女を信じていないでしょう? なのに、何故あなたは彼とつきあえたのかしら?」 「……」 “取り入った”だの、“何故つきあえた”だの、やたらとチクチク言ってくる城田さん。 そういえば、確かに彼女はこういう人だった。 試すようなトゲのある聞き方をして、自分に優位なように話を転がして、少しずつ私を惨めな気持ちにさせていく。 新入社員の頃にいびられて、資料室で一人泣きながらお弁当を食べていたことを思い出す。 いや、それは置いといて……。 “女を信じていない”? なんか似たようなことを聞いた覚えもあるけど……。 「女を信じていないようには、私には見えませんが……」 ビクビクしながらも正直に言い返すと、城田さんの眉がピクリと動いた。
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