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「あなた、彼のこと理解してる? 彼の何を知ってるの?」 「え……」 なんでそんなこと聞かれなきゃいけないの? そう思いながらも、バカ正直に考える私。 知っていることと言えば……、 フルネームと、身長体重と、コーヒーに角砂糖2個入れることと……。 あ、そうだ。 「天ぷらが好きですよね?」 「何言ってるの? 彼は油ものはあまり好きじゃないわよ。 ていうか、そういうことを言ってるんじゃなくて」 「あれ?」 天ぷら好きじゃないの? なら、どうして……。 「彼の女嫌いの理由とか、聞かされてないの?」 “女嫌い”……? どこかで聞いたことのあるフレーズに、私は記憶の引き出しをアタフタしながら開けていく。
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