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城田さんとは、入社してすぐに電話番号の交換をしていた。 彼女が会社を辞めた後も特に消す機会が無く、登録されたままだった。 「や……、だって、ほら、なんか怖いし」 昨日、吉川さんのケータイに着信があった時に声を聞かれたかもしれない、って心当たりがあるだけに。 「そんなこと言っても、またかかってくるぞ~」 笹原君はビールジョッキを顔の横に持ち上げながら、からかうように意地悪く笑う。 「ちょっと! 私、本気で悩んで――。 ……あ」 プンスカしながらテーブルの上にこぶしを作った時、その横に置いていたケータイが軽快な音で鳴った。 着信画面を見て、サァーッと血の気が引く。 「かかって……きた……」
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