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……そうだ、確か吉川さんの代わりに電話に出た、高迫さんって人も言っていた。 でも……。 「分かりません」 私は、やはり正直に答える。 その答えに、城田さんは、 「やっぱりその程度のお付き合いなのね。 うわべだけで中身のない」 と、軽くあしらうように笑った。 「え……?」 いつまでも私を下に見るような言い方。 慣れてはいるものの、その言葉には少々カチンときて表情に出てしまった。 そんな私を知ってか知らずか、マイペースな城田さんは紅茶を一口飲み、小さな音を立ててソーサーにカップを置いた。 「単刀直入に言うわ。 別れてくれるかしら?」 「へ?」 単刀直入にも程がある。 私は、呆気に取られて、思わず間抜けな声を出してしまった。
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