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「探りを入れてくるなんて、いよいよ決定的じゃね? やっぱり噂どおりだったんだよ、あの人達の関係」 さらっと核心的なことを言う笹原君に、葵ちゃんは複雑な顔をしている。 「……うん。 そ、うかも……しれない」 頭上に雨雲を飼っているような気分と声で、私も弱々しく返事をする。 その意見に同意せざるを得ないようだ。 好きだと確信し、ファーストキスを捧げた直後のコレはイタイ。 春人に言ったら、ホレ見たことか、とバカにされそうだ。 でも10パーセントほど、いまだに吉川さんを信じている自分がいる。 今までの態度や言葉や私への気遣い全てが、嘘だったとは思えない。 いや、思いたくないんだ、私自身が……。
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