11

28/34
前へ
/39ページ
次へ
そして、さっき、『会わない』って言った私の言葉を、即座に『分かりました』と了承したのも。 ……それもそのはずだ。 だって、ただ、形だけでも付き合えればそれでよかったんだから、吉川さんは。 社長に証明できれば、それで……。 「……っ」 そこまで考えると、また惨めな感情の波が押し寄せて来て、私は堪らず助手席のドアを開けていた。 まるで逃げるような速さで、何も言わずに車から降りようとすると、 「道野さん」 と、呼び止める吉川さんの冷静な声。 「その紙袋、私の服では?」 「……」 言うに事欠いて、それですか。 片足だけ車から降りて地面についている微妙な体勢で、こんな時にまで、私をもっと間抜けな女にさせる吉川さん。

最初のコメントを投稿しよう!

3960人が本棚に入れています
本棚に追加
広告非表示!エブリスタEXはこちら>>