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あー、もう、社長ってば、何言い出すかと思えば……。 ていうか、吉川さんも『そうですね』って……。 『そうで――……』 ボンッと顔が膨張して破裂したかと思った。 自分の席に戻り、赤くなった顔を左手で冷ましながら、既に冷めてしまっている料理に箸を伸ばす。 「先輩。驚きました、私」 「え?」 口に入れようとした瞬間、隣の葵ちゃんがすかさず私の顔を覗き込む。 「吉川さんの笑った顔ですよ! いつも仏頂面の人が笑顔を見せると、すごい破壊力ですね。 多分女子職員の半数は持っていかれちゃいましたよ、アレに」 「笑顔って……」 あ。 ……さっきの空気って、それで? 「私の前ではよく……」 と言いかけて、慌てて止める。 まるで自惚れ発言みたいだから。
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