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私と葵ちゃんが同時に振り返ると、私の斜め後ろにいる笹原君もつられてそちらを見る。
「……」
数メートル後方に、店の脇の外壁に寄り掛かってこちらを眺めている、
……吉川さんの姿。
「よし、じゃ、中園さん、俺らは先に行こうか」
「ちょっ――、高迫さんっ」
高迫さんにそのまま引きづられながら、葵ちゃんは連れて行かれてしまった。
私と笹原君はと言うと、店の外壁に灯る照明で一層オーラを濃くされていらっしゃる吉川さんから、視線を外すことができない。
他の社員達は移動して既にいなくなっており、店の前に残っているのは、私と笹原君と吉川さんの3人のみ。
ついさっきまでのガヤガヤが嘘みたいに、この人通りのあまり無い細い路地に然るべき静寂が訪れた。
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