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「先輩、大丈夫ですか?
酔って気分悪くなったんじゃ……」
「大丈夫。
気分悪くなったのは確かだけど」
「?」
戻ると、葵ちゃんが心配そうな顔をして声をかけてきた。
なんだか異世界から生還したかのような気分だけれど、私の顔はだいぶ疲れているように見えるんだろう。
ふと、いつの間にか自分の席に戻っていた笹原君が、隣の社員と熱いトークバトルをしているのが目に入る。
「……」
……高迫さん、やっぱり嘘を……。
なんとなくそうだろうな、と思ってはいたが、彼は本当に私を苛めたいらしい。
「葵ちゃん、社長にお酌、行った?」
「あ、はい。
先輩が席を立っていた時に、野本さんと一緒に行ってきちゃいました」
「そっか。
じゃ、私も行ってくるよ」
社長は日本酒派だから、とっくりを持って立ち上がる。
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