14-2

20/35
3799人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
そして、胸に空洞ができたかのような何とも言いようのない気持ちが、私自身を笑った気がした。 ……私、あろうことか、期待してた……。 ドラマみたいに、漫画みたいに、吉川さんが私を繋ぎ止めるようなことを言ったり、プチ修羅場みたいになっちゃったりするかもって、 ……どっかで、思ってた……。 だって、さっき、あんなキス……。 「道野……」 酔った頭で考えがまとまらず、ぐちゃぐちゃになっているところに、笹原君が、 「あんまり言いたくないけどさ……、やっぱ、吉川さんにとってただのコマだったんだよ、道野は」 と、言葉も選ばずに核心をついた。 「……」 繋がれたままの手が一層強く握られたけれど、私の心と体は逆に、しおれた花のようにくたりとなった。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!