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「だから……」 最後まで言わずに、私の目を見つめて顔を近付けてくる笹原君。 「え……」 アップ。 超、ドアップ。 近付くにつれてゆっくり伏せられていく笹原君の目が、私の唇に視線を落とす。 これ、もしかして……。 「やっ!! ごめんっ、私口にヘルペスできてるから、う、ううううつるしっ」 「えっ? ……あ、ごめん。そっか。わり……」 「……」 背中を反らして思い切り顔を背けた私は、この雰囲気の気まずさと恥ずかしさに、今頃顔を紅潮させる。 こんなシリアスな場面を、間抜け極まりない場面にしてしまう自分。 しかも、うつるのが理由でキスしたくない、みたいな言い方になってしまったし……。 本当はそれだけが理由じゃないと、どこかで分かっている自分がいるんだけれど。
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