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「悪い。
先走った。謝る」
私の肩から手を離した笹原君が、バツが悪そうに頭をかく。
「……ううん」
私も笑顔と苦い顔を足して2で割ったような顔で、小刻みに頭を横に振る。
気まずい。
……非常に気まずい。
「でも、言ったことは、本音だから。
キツイこと言っちゃったけど、そんな状態のまま留まって欲しくないっていうか、先に進んで欲しいっていうか、……他の男も見て欲しいっていうか」
「……うん」
頷きながらも、まだ頭の中に吉川さんがいる自分を認めるが、でもこれは、今日セクハラされたからだ、と無理やり自分に言い聞かせる。
もう、いい、本当に。
笹原君の言うとおりだ。
いい加減吉川さんのことは――。
チャリ……。
「……」
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