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……えっとーーー……。 足はゆっくりながらも動いているが、それ以外は硬直。 だって、それは見覚えのある鍵だったから。 ……吉川さんの、家の、鍵……。 以前お邪魔した時に、横で玄関の鍵を開けるところを見ていたから、覚えている。このキーケース……。 「道野」 「え?」 笹原君の呼び掛けに、私は何故か咄嗟に鍵をポケットに戻す。 「何か喋れよ。 怒ってんの?さっきのこと」 顔を後ろの私の方へひねって聞いてくる笹原君。 まだ少しぎこちない口調だ。 「ううん、そんなんじゃなくて」 同じくぎこちない笑顔を作って、頭を横に振る私。 でも、脳内は、鍵のことと、なんで?なんで?のオンパレードでグルグル。
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