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「金払ってでも、って」
フッと吹き出す声が続き、興奮して乱暴になった私の言葉の変なところにハマったらしい吉川さんの顔が、少しだけくしゃっとなる。
「……」
……まただ。また、笑われた。
笑うと目尻にシワが寄るんだ。吉川さん。
視点が定まらないのに、そういうところだけ、ちゃんと視界に入ってしまう。
あー、私、やっぱり、好……。
「違うっ!!そうじゃなくてっ」
私は頭を振りながら、思わず自分の脳内へのつっこみを口に出す。
と同時に、勝手に赤面。
あぁっ!もう、ぐちゃぐちゃだ。
「笑わないでくださいっ!
質問に答えてください!」
煮え切らなさと歯痒さで頭が沸騰しそうになり、私は本気で地団太を踏んだ。
「道野さん、危ないです。
倒れますよ」
興奮しきってよろける私の背中を、なおも冷静にトン……と支える吉川さんを見て、私の目からはとうとう涙が落ちた。
「だっ、だからっ、……っ、ちゃんと答――」
「口実だけなら、物分かりがよく、面倒のない賢い女を選びます。
そして最初から計画の加担を申し入れる」
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