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「いえ……、迷惑とか、そんなこと……」 ……あれ? というか、この話題の方向はもしかして……、と脳裏を掠めたその時。 近くの障子が開いて、戻ってきた吉川さんの姿が視界に入った。 「……っ!」 ――うぎゃっ!! という心の叫びは表情に出さず、ごく……と生唾と共に狼狽を飲み込み、社長の横に平然とした態度でお座りになる吉川さんをチラ見。 「ずっと吉川君はフリーだと思っていたから、うちの姪の我儘に付き合ってもらっていたんだ。 キミと交際中だと聞いて、歩美にも伝えたんだけれど、あれはプライドも高くて向こう見ずなところがあってね。 嫌な思いをさせてしまって、本当に申し訳無かった。 歩美には注意しておいたからね」 「……」 変な緊張に、両肩が上がる。 やはり、話の流れ上、ここに行き着いてしまった。
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